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施設長コラム

“泣く”ことと“涙”と


良い出来事にしても、悪い出来事にしても“泣く”ほどということは、精神的にかなり
の興奮状態であることを意味しています。そして、“涙”にはその状態から速やかに脱却し、
心の平静を取り戻すという修復効果があります。
泣く原因あるいは理由を分類すると以下の6型くらいでしょうか。
1)悲 嘆…悲しさ、苦しさ(心身どちらの痛みでも)
2)敗北感…悔しさ
3)寂寥感…寂しさ
4)歓 喜…嬉しさ
5)示 威…泣き落とし
6)嘘泣き…逃げ
1)、2)、3)は泣くこと本来の心理表出と思われるので説明は不要ですが、4)の喜びが
極まって泣く内容を分析すると、
i)達成感・・努力が報いられた、成功した・・合格、勝利
ⅱ)自分の成果が称賛されて・・存在を認められた・・自分が主人公
ⅲ)助力に感謝して・・尽くしたり考えたりしてもらえた・・相手が主人公
iv)強い感動・・高貴なものあるいは荘厳なものに触れたり、見たりして

“悲しみ”と“喜び”という感情的に両極の“座”が実は脳内では両方とも“大脳辺縁系”に在り(?)
それぞれの極みにおける表出は同様の形態をとるものと思われます。
5)、6)は前頭葉由来の打算的行為なので考慮しませんが、迫真の演技にはしばしば惑わ
されるものです。また、示威行為とまではいえなくても“自分の窮状を解ってほしい”
と訴えて泣くことは少なくないように思われます。
1)から4)までのいずれも、落涙を伴う感情の段階には大きな“個人差”があることが、
ドラマや映画を見ている観客を横から眺めればよく判ります。
いわゆる“泣き上戸”は他人の涙を見ただけで、感情を伴わなくても“もらい泣き”する
「涙腺弛緩症」です。逆に大半の人が涙を流しても平然としている「涙腺干ばつ症」も
あり、この両者は遺伝性あるいは生育環境の要因がかなり強いようです。
また、泣くことは“伝染性”が強く、一人が泣き始めた途端に会場全体からすすり泣き
が聞こえるということは良く見られる現象です。
さすがに、“泣くことを楽しむ”といわれる人はありませんが、“滅入っていた気分が
一泣きしたら晴れた”とは聞きます。これが涙の持つ感情の浄化作用です。
また、“年をとって涙もろくなった”と、加齢に伴う感情抑制装置の機能低下をしばしば
耳にしますが、一般的には年齢を重ねるとともに、感情の起伏が緩やかになり、泣くことは、
少なくなります。でも、人間関係を円滑に保つためには適当に涙が出る方が良いかもしれま
せん。“本体はポンコツになっても、ウォッシャー液の補充はお忘れなく”(自戒を込めて)


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