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施設長コラム

頭髪残存率に比例する認知機能

人の生命力のピークは30才代前半にあり、しばらく平行線をたどった後に蓄えを使い果たして、
およそピークの2倍の年令で生産活動を終えます。

そして、男性のこの生命力の変化を忠実に表しているのが頭髪の盛衰であります。
早ければ30才台ですでに河童頭になる人もいますが、多くは40代で脱落と白化が始まり、
宣伝の誘惑に抗しきれずに様々の整髪料を塗りたくっても、結局全てが徒労であったと気付いたときには
頭皮はまばゆい凸面鏡と化しています。

頭髪の目的が最重要臓器の保護であるならば、生命ある限り充分に残っていてしかるべ
きと考えます。しかるに、早々と脱落してしまうということは、頭蓋内にもはや守るべきものが
多くは残っていない証なのでしょうか。たいがい脱落は頭頂部から始まって前頭部に向かってゆき、
やがて後頭部も消えてゆきますが、側頭部は比較的遅くまで残っています。

このことは脳の機能局在を考えた場合、加齢に伴う脳の精神機能の衰退が人格、
創造性および情緒等で先行し、聴覚や本能は高齢になるまで残存していること、
身体的には先ず脚力が弱くなり、次いで視力が衰えてゆく過程等と良く一致しています
(私の講義ノートが残っている人は開いて見てください)。

あらゆる法則に例外があるように、頭皮が蝿や蚊も滑落する状態になっていながら、
偉大な業績を残した人物とすれば、レオナルド・ダヴィンチ、ピカソそして棟方志功などが浮かびますが、
芸術家の脳構造は凡人とは異なるかもしれません。しかし、ノーベル賞受賞者の多くが、
自立歩行も困難な状態になっていながら頭髪は充分残っているように見受けますので、
前述の仮説を裏付けているものと考えます。”鏡が必ずしも真実を写すものでは無い”としても、
見える範囲の半白部分が残り30%となった自分の頭部をながめつつ「今日は何月何目」、
「今朝のおかずはあれとこれ」と毎日確認し、”今夕も無事に家に帰り着けるだろうか”、と案じながら暮らしています。


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